JAPAN AIのInfrastructure teamは、舞台裏で極めて重要な役割を担い、プラットフォームのあらゆる側面が安全に、安定して、そしてスケール可能に動作することを支えています。彼らの仕事は、クラウドリソースのプロビジョニングやCI/CDツールの整備から、ネットワークの最適化、オブザーバビリティの強化、さらには認証や課金といった重要なプラットフォーム機能の開発にまで多岐にわたります。
今回のインタビューでは、JAPAN AIのInfrastructure team のリーダーを務めるJoshua Martinさんにお話を伺いました。イギリスと日本をまたいでおよそ10年にわたるエンジニア経験を持ち、AIスタートアップでも豊富な実績を積んできたJoshuaさんが、自身のキャリアの歩み、チームのミッション、日々取り組むユニークな課題、そして現代のAIプロダクトを支えるインフラ構築の魅力について語ってくれます。
私はソフトウェアエンジニアとして約10年ほど働いています。2015年にイギリスの大学を卒業したのですが、専攻はビデオゲームプログラミングでした。コンピュータサイエンスとは別のコースでしたが、授業の75%はコンピュータサイエンス専攻の学生たちと同じ内容を学んでいたので、基礎はほとんど同じです。
卒業後はイギリス南部のオンラインアンケートプラットフォームを開発する会社に就職し、PHPを中心にバックエンド開発を担当しました。そこで約4年間働いた後、東京でインフラエンジニアとして採用される機会を得て日本に渡りました。ただ当時は少し特殊な状況で、渡航後すぐにその会社が閉鎖してしまい、一日も働かないまま別のゲームマーケティング会社に転職することになりました。その後2年間はそちらでフルスタックエンジニアとして経験を積みました。
その次に参加したのがAIスタートアップです。そこでは社内で開発したAIモデルを用い、身体の写真から多様な計測データを抽出し、ヘルスケアやファッション業界向けに提供する事業に取り組みました。特にファッション分野に個人的な興味もあり、私が担当したのはファッション業界向けのメインプロダクトの構築です。最終的には、数百万人のユーザーに毎日使われるような大規模なシステムを作ることができたのは、本当に満足感の大きい経験でした。
私はGitHub Copilotが登場したときからずっと愛用していて、その便利さに魅了されていました。個人プロジェクトでもLLamaのモデルをローカルで動かして試したりして、大規模言語モデルの可能性にはかなり早い段階から興味を持っていました。
そんな中でJAPAN AIを知ったときに感じたのは、この会社が非常に透明性が高いということでした。面接の過程で、どの面接官も同じように、どの業界をターゲットにしているのか、その理由は何かを論理的かつ一貫して説明してくれたのが印象的でした。スタートアップでは、「何を作るかは決まっていても、誰のために作るのかはまだ曖昧」というケースも多いと思いますが、JAPAN AIは自分たちのターゲット市場をきちんと理解していて、面接を通じてもその誠実さを感じることができました。
加えて、AIという現代で最も急速に成長している分野で、自分の知識をさらに広げ、成長できるチャンスがあると感じたのも大きな理由です。最新の安定したツールやインフラを使いながら、スピード感を持って尖ったプロダクトを作っていける環境に魅力を感じました。
入社してから本当にさまざまな業務を担当してきました。インフラチームは少し特殊で、ユーザーの目に直接触れる機能を作るというよりも、プラットフォーム全体の信頼性や開発体験を支える重要な機能を担当しています。
中でも印象に残っているのは、エンタープライズ向けのSAML認証機能の実装です。エンタープライズ市場はJAPAN AIにとって非常に大事なターゲット層であり、大手企業向けのシングルサインオンは事実上必須の要件です。SAML自体はプロトコルとして仕様が明確ですが、実際にテストを行おうとすると、日本で使われる主要なIdPを把握し、それに合わせてテストアカウントを確保し、動作を検証する必要があります。仕様通りに動かないことも多いため、実運用を見据えた対応には苦労しましたが、その分、エンタープライズ対応を実現できたことは大きな達成感がありました。
もう一つ大きな取り組みだったのが、請求システムの再設計です。AI利用が急速に拡大する中で、利用量のトラッキングや課金計算をより柔軟で将来を見据えた仕組みに作り直す必要がありました。私たちは利用量を効率的に記録し、他の開発チームが統合しやすい形にするためにアーキテクチャを再設計し、プラットフォーム全体の成長を支える基盤を整えました。
インフラチームのミッションは、JAPAN AIのプロダクトとシステム全体の健全性と安定性を確保することです。そのためにクラウドリソースのプロビジョニングや管理、エンジニアリングチームのためのCI/CDツールの導入、ネットワークパフォーマンスの改善、そしてオブザーバビリティの強化など、非常に多岐にわたる仕事を担当しています。さらに、認証や課金といったプラットフォームの基盤機能を開発することも重要な役割です。
私自身はチームのリードとして、これらの目標をチームメンバーと共に推進し、信頼性が高く可観測性に優れたシステムを実現するための知見をチーム内外に提供することを意識しています。チームをまとめるだけでなく、自分自身も技術的な課題解決に深く関わり、会社全体を支えるプラットフォーム作りに貢献しています。